はじめに:教育現場に押し寄せるAIの波
コーヒーを片手に朝の準備をしていると、隣の部屋から小学生の娘が「お母さん、この算数の問題がわからない」と声をかけてきます。昨日まで解けていた問題なのに、今日は手が止まっている。そんな時、もしタブレットが娘の学習パターンを理解して「昨日の復習から始めましょう」と提案してくれたら、どんなに助かるでしょうか。
このような光景が現実になりつつある今、教育分野におけるAI(人工知能)の活用は単なる技術的な話題を超えて、私たちの学びそのものを変えようとしています。しかし、AIが教師を完全に置き換えるという議論とは異なる視点で、人間とAIが協力し合う教育環境の可能性を探る研究が注目されています。
ラドバウド大学(オランダ)のInge Molenaar教授による2022年の論文”Towards hybrid human-AI learning technologies”は、まさにこの人間とAIの協働という視点から教育技術のあり方を論じた重要な研究です。モレナー教授は、オランダの国立教育AI研究所で行動科学研究に従事する第一線の研究者であり、適応学習技術の分野で多くの実証研究を手がけてきました。
