はじめに:語学学習の感情的側面に光を当てた研究

外国語を学んだことがある人なら、誰しも覚えがあることでしょう。新しい言語に出会った時の興奮と同時に襲ってくる不安、うまく話せた時の達成感、そして思うように進歩しない時のもどかしさ。これらの感情は語学学習にとって単なる付随的な要素ではなく、学習の成否を左右する重要な要因なのです。

ルクセンブルク大学のE’Louise Botes氏、ロンドン大学バークベック校のJean-Marc Dewaele教授、そしてルクセンブルク大学のSamuel Greiff教授による今回の研究”The power to improve: Effects of multilingualism and perceived proficiency on enjoyment and anxiety in foreign language learning”は、まさにこの感情的側面に焦点を当てたものです。特に、すでに複数の言語を操る多言語話者が新しい外国語を学ぶ際に、どのような感情的な優位性を持つのかを科学的に検証しています。

この研究が扱うのは、外国語学習における「楽しさ」(Foreign Language Enjoyment, FLE)と「不安」(Foreign Language Anxiety, FLA)という二つの感情です。これらは決して表裏一体ではなく、研究者たちは語学学習者の「右足と左足」に例えています。つまり、一人の学習者が同時に楽しさと不安の両方を感じることもあり得るということです。