研究の背景―なぜ多読が注目されるのか
英語を勉強している人なら、「たくさん読めば英語が上達する」という助言を一度は耳にしたことがあるでしょう。実際、英語の教科書を一語一句丁寧に読むのではなく、簡単な本をどんどん読んでいく「多読」という学習法は、近年多くの語学教室や学校で取り入れられています。しかし、本当に大量に読むだけで語学力は向上するのでしょうか。もし効果があるとして、どのような要素が重要なのでしょうか。
オランダのVrije Universiteit AmsterdamのNina Sangersらの研究チームは、この問いに答えるため、過去の研究を総合的に分析しました。Educational Psychology Review誌に2025年に発表されたこの論文”Learning a language through reading: A meta-analysis of studies on the effects of extensive reading on second and foreign language learning”は、73の研究(82の介入プログラム)を対象とした大規模なメタ分析です。研究者たちは、extensive reading(以下、ER)と呼ばれる多読プログラムが、第二言語や外国語の学習にどの程度効果があるのか、そしてどのような条件で効果が高まるのかを明らかにしようとしました。
