はじめに―試験が教育を形作る力
Table of Contents
−- はじめに―試験が教育を形作る力
- 研究の背景―試験改革の波の中で
- 研究の方法―ジャンルという視点から文章を見る
- 研究の発見―物語の圧倒的優位と議論文の不在
- ジャンルの内訳―さらに詳しく見ると
- 時間的変化―20年間の推移が語るもの
- 研究の意義―何が明らかになったのか
- 教育的含意―試験が教室に与える影響
- 批判的考察―研究の限界と残された課題
- 方法論の評価―研究デザインの強みと弱み
- 国際比較の視点―他のアジア諸国への示唆
- 日本の英語教育への示唆
- 読解力と批判的思考力―なぜジャンルが重要なのか
- カリキュラムと試験の整合性―建前と実態のずれ
- 文化的文脈の中のジャンル―何を読ませるべきか
- 定量的データが語ること、語れないこと
- 結論―試験を変えることで教育を変える
試験は単なる評価の道具ではありません。特に大学入試のような高い影響力を持つ試験は、教室での教え方や学び方を大きく左右します。中国では毎年約1000万人の高校生が「高考(ガオカオ)」と呼ばれる全国統一大学入試を受験しますが、その英語科目であるNational Matriculation English Test(NMET)は、中国全土の英語教育に強い影響を及ぼしています。
本論文”Genres of reading comprehension passages in Chinese Mainland National Matriculation English Test (NMET): A systematic analysis of the last twenty years (2004–2023)”の著者であるDong WangとZhexi Yeは、江蘇科技大学外国語学院に所属する研究者です。両名は共同第一著者として、2004年から2023年までの20年間にわたるNMETの読解問題240題を詳細に分析しました。この研究は、Systemic Functional Linguistics(SFL、システム機能言語学)という言語学の枠組みを用いて、試験問題に登場する文章のジャンルを体系的に分類し、その分布と変遷を明らかにしようとするものです。
