はじめに―書くことの難しさと教え方の模索

外国語で文章を書くという行為は、母語で書く場合とは比べものにならないほど複雑で難しいものです。文法や語彙の知識だけでなく、どのような場面で、誰に向けて、何のために書くのかという文脈の理解や、読み手の期待に応える構成力、適切な表現の選択など、実に多くの要素が絡み合っています。この複雑さゆえに、外国語教育の現場では長年にわたって「どうやって書く力を効果的に育てるか」という課題に多くの教師たちが頭を悩ませてきました。

本論文”Connecting reading and writing in foreign language instruction: A process-genre approach”は、タイのカセサート大学で英語専攻の学生を対象に実施された、ライティング指導の実践研究です。筆者たちは「プロセス・ジャンルアプローチ」という教授法を採用し、特に「読むこと」と「書くこと」を意識的につなぐ工夫をしながら、15週間のライティングコースを展開しました。そして、この取り組みが学生たちのアカデミックライティング能力をどのように向上させたのかを、統計的な分析と学生へのインタビューという二つの角度から検証しています。