筆者と研究の背景―現場の教師が取り組んだ実践研究

この論文”The implementation of extensive reading to foster EFL Thai undergraduates’ narrative writing performance and attitudes”の著者であるPasika Tantipidokは、タイのNakhon Pathom Rajabhat大学の語学研究所で英語を教える講師です。タイの大学で英語を学ぶ学生たちは、日本の学生と同じように、読むことはある程度できても、書くことに大きな困難を感じています。特に物語を書くような課題では、何から書き始めればよいのか分からず、文章の構成もうまくいかない。語彙も限られているし、文法的にも不安定な文章になってしまう。そうした学生たちの姿を日々目にしてきたTantipidokは、ライティング指導に何か効果的な方法はないかと考えました。

そこで着目したのが「多読(Extensive Reading)」です。多読とは、文字通り「たくさん読むこと」ですが、ただ量を増やせばよいというものではありません。学習者が自分で読みたい本を選び、楽しみながら読み、細かい文法や単語の意味を逐一調べるのではなく、全体的な意味を理解することを重視する読書法です。この多読が、ライティング能力の向上にも効果があるのではないかという仮説のもと、Tantipidokは10週間にわたる実践研究を行いました。