研究の背景:デジタル時代の語彙学習
私たちの生活にスマートフォンが欠かせなくなって久しいですが、教育の現場でもその影響は計り知れません。特に外国語学習の分野では、アプリやSNSを活用した新しい学習方法が次々と生まれています。Ali Rashed Ibraheam AlmoheshとJinan Abdulaziz Hamad Altamimiによる本研究”Wow, I cannot stop: A concentration on vocabulary learning via instagram and its effects on informal digital learning of english, technostress, and on-line engagement”は、まさにこうした時代の流れを反映したものです。彼らが注目したのは、若者に圧倒的な人気を誇るInstagramというプラットフォームでした。
考えてみれば、多くの学生が一日に何時間もSNSに費やしているのですから、その時間を少しでも学習に転換できれば効果的ではないか、という発想は自然なものです。例えば、通勤電車の中でぼんやりとInstagramのフィードをスクロールしている時間を、英語の単語学習に充てられたらどうでしょうか。本研究は、そのような可能性を実証的に検証しようとした意欲的な試みといえます。
ただし、この研究が単なる「流行りのSNSを使ってみた」という表面的なものではないことは、論文を読み進めると明らかになります。筆者たちは、Informal Digital Learning of English(IDLE、非公式デジタル英語学習)、テクノストレス、オンライン・エンゲージメントといった、現代の教育心理学における重要な概念を丁寧に取り上げています。
