研究の背景と筆者たちの問題意識
この論文”An experiential learning-based virtual reality approach to foster students’ vocabulary acquisition and learning engagement in English for Geography”は、中国浙江省の浙江師範大学に所属するYifan Li、Shufan Ying、Qu Chen、Jueqi Guanの4名の研究者による共同研究です。筆者たちは、特定の専門分野のための英語教育という、多くの大学で直面している課題に取り組んでいます。
皆さんも大学時代、専門科目を英語で学ぶ際に苦労した経験があるかもしれません。普通の日常会話の英語ならある程度理解できても、自分の専攻分野の専門用語となると、途端に難しくなります。例えば、地理学を学ぶ学生にとって、「hydrologic cycle(水文循環)」「evaporation(蒸発)」「groundwater(地下水)」といった専門用語は、単なる単語の暗記では十分に理解できません。これらの言葉は、複雑な自然現象を表しており、その背後にある概念やプロセスを理解して初めて、適切に使えるようになるものです。
筆者たちが着目したのは、このような抽象的で複雑な専門概念を、より効果的に学ぶ方法としての仮想現実技術でした。従来の教科書や動画による学習では、どうしても学習者と教材の間に距離が生まれます。しかし、VRを使えば、学習者自身が水の循環プロセスの中に入り込み、まるで自分がその現象の一部になったかのような体験ができるのではないか。そうした発想から、この研究は始まりました。
