はじめに:語彙学習の永遠の課題とテクノロジーの可能性
英語を外国語として学ぶ人々にとって、語彙の習得は終わりのない挑戦です。授業で新しい単語を学んでも、すぐに忘れてしまう。単語帳を作っても、なかなか続かない。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。特に、英語圏以外の環境で学ぶ学習者にとって、日常生活で英語に触れる機会が限られているため、意図的に学習時間を確保することが重要になります。
近年、スマートフォンの普及に伴い、語学学習アプリが数多く登場しています。通勤電車の中でも、寝る前のちょっとした時間でも、手軽に学習できるという魅力があります。しかし、本当にこうしたアプリで効果的に語彙を学べるのでしょうか。紙の単語帳や従来の学習方法と比べて、どれほどの優位性があるのでしょうか。そして、アプリで学んだ知識は長期的に定着するのでしょうか。
本稿で取り上げるZakian氏らの研究”Out-of-the-classroom learning of English vocabulary by EFL learners: Investigating the effectiveness of mobile assisted learning with digital flashcards”は、こうした問いに対して、実証的なデータを提供しようとした試みです。研究チームは、イランの大学生86名を対象に、6ヶ月にわたる追跡調査を実施しました。参加者は、英語の高頻度語彙リストをスマートフォンアプリで学ぶグループと、紙のリストで学ぶグループに分かれ、教室外での自主学習を行いました。この研究の特徴は、単に学習直後の効果を測るだけでなく、2ヶ月後の遅延テストも実施することで、長期的な記憶の定着を検証している点にあります。
