はじめに:英語で授業を受けることの効果を問い直す

大学で英語を使って専門科目を学ぶ環境が、世界中で広がっています。マカオも例外ではありません。このような環境では、学生は授業内容を理解するだけでなく、英語の力も同時に伸ばせると期待されています。特に、講義を聞いているうちに自然と新しい単語を覚えていく「偶発的語彙習得」という現象が起こるはずだと、多くの教育関係者が考えてきました。しかし、本当にそうなのでしょうか。

マカオ大学のBarry Lee Reynoldsらによるこの研究”Incidental vocabulary acquisition from listening to English teacher education lectures: A case study from Macau higher education”は、そんな素朴な疑問に正面から取り組んでいます。研究チームは、実際の大学講義27回分を録音し、高校を卒業したばかりの学生1人に約3ヶ月半にわたって聞いてもらい、どれだけ語彙が身についたかを詳しく調べました。この論文は、EMI(English as a Medium of Instruction:英語を媒介とした教育)という教育方法の効果について、非常に具体的なデータを提供してくれる貴重な研究です。