増え続ける英語学習者と教育現場の現実

朝、教室に入ると、様々な背景を持つ子どもたちが座っています。ある子は昨年アメリカに来たばかりで、英語はまだたどたどしい。別の子は生まれも育ちもこの国ですが、家では両親とスペイン語で話している。こうした子どもたちに、どうやって学年相応の算数や理科を教えればいいのか。多くの教師が日々直面している、この切実な問いに応えようとしたのが、University of Houston-VictoriaのLiping Wei准教授による本論文”Teaching academic vocabulary to English language learners”です。

Weiはテキサス州の教育現場を熟知した研究者で、英語学習者(ELLs)の教育経験や教師の実践を物語的に研究してきた人物です。彼女が所属するテキサス州は、カリフォルニアに次いで全米で2番目にELLの割合が高く(18.7%)、まさに多言語教育の最前線といえる場所です。そうした現場での経験を踏まえて書かれた本論文は、2021年に発表されましたが、そこには理論と実践の架け橋を作ろうとする著者の強い意志が感じられます。

論文の冒頭で示される統計は、この問題の規模を物語っています。2018年時点で、アメリカの公立学校には約500万人のELLがおり、これは全生徒の10.2%に相当します。そして彼らの多くは、英語を母語とする子どもたちと比べて、読解力で23〜30%も低いスコアを記録し、中退率は2倍近くになっているというのです。