はじめに―研究者たちが同じ教室に集まったら
この論文”Language, people, classrooms, world: Blending disparate theories for united language education practices”の冒頭に登場する、ちょっとした冗談めいたシナリオが印象的です。三人の研究者が教室を訪れます。一人は認知心理学的な観点から第二言語習得を研究する人、もう一人は言語の普遍的な文法構造を探る生成文法学者、そして三人目は身体的な相互作用を重視する研究者です。現場の先生が「何かお手伝いできることはありますか」と尋ねると、三人はそれぞれまったく異なるアドバイスを始めます。結果として、先生は混乱し、研究者たちは自分たちの無力さを感じて大学に戻っていく―こんな風刺的な場面から、この論文は始まります。
この論文を執筆したのは、Masatoshi Sato、Steven L. Thorne、Marije Michel、Theodora Alexopoulou、John Hellermanという五人の研究者です。Satoは日本で生まれ育ち、現在はチリの大学で教鞭をとっています。Thorneはアメリカとオランダの大学に所属し、技術を活用した言語学習の研究で知られています。Michelはオランダで多言語教育の研究に従事しており、Alexopoulouはケンブリッジ大学で大規模な学習者データを用いた研究を行っています。Hellermanは対面での相互作用の詳細な分析を専門としています。
彼らは普段、互いにほとんど引用し合わないような、異なる学派に属しています。それでも今回、あえて一つの論文を共同で執筆したのは、第二言語教育という共通の目標に向けて、理論の違いを超えて協力できることを示すためでした。
