英語を学ぶ際、発音の習得は多くの学習者にとって大きな壁となります。特に単語のどこにアクセント(強勢)を置くかという問題は、意外に軽視されがちですが、実はコミュニケーションの成否を左右する重要な要素です。たとえば「record」という単語は、名詞なら「REcord」、動詞なら「reCORD」と、アクセントの位置によって意味が変わります。このような語彙ストレス(lexical stress)の誤りは、聞き手の理解を著しく妨げることが知られています。
American University of SharjahのÖzgür Parlakは、こうした発音上の課題に対して、教室での「暗黙的な訂正フィードバック」がどの程度効果を持つのかを検証しました。本研究”The effects of implicit corrective feedback on production of lexical stress in L2 English”は、第二言語習得における相互作用アプローチ(interactionist approach)の枠組みを用いて、アラビア語を母語とする英語学習者68名を対象に、リキャスト(recast)と呼ばれる訂正手法が英語の主ストレス産出に与える影響を音響分析と専門家による聴取判断の両面から詳細に調査したものです。
筆者の背景と研究の位置づけ
Parlakは、第二言語の音韻習得、特に韻律的特徴の発達を専門とする研究者です。本研究は彼がLancaster Universityで完成させた博士論文を基にしており、その後追加の聴取実験を行って発表されました。この論文が掲載された「Studies in Second Language Learning and Teaching」は、第二言語習得の実証研究を扱う査読付き学術誌で、理論と実践の橋渡しを重視する点で知られています。
これまでの第二言語習得研究では、文法や語彙の誤りに対する訂正フィードバックの効果は数多く検証されてきました。しかし、発音、特に韻律的特徴(イントネーションやストレスなど)を対象とした研究は驚くほど少ないのが現状です。Parlakはこの研究ギャップに着目し、相互作用を通じた暗黙的フィードバックが発音改善にも有効であることを実証しようと試みました。
