はじめに―言葉の「適切さ」を測る難しさ

「谢谢(ありがとう)」という言葉を、いつ、誰に、どのように言うべきか。文法的には正しくても、場面にそぐわない使い方をすれば、相手を戸惑わせたり、場合によっては失礼になったりします。こうした言葉の「適切な使い方」を扱うのが語用論という分野ですが、外国語学習においては、文法や語彙の習得以上に難しい課題とされています。

本稿で取り上げるのは、Hong Kong教育大学のJing JinらによるInternational Journal of Applied Linguisticsの2025年掲載論文”Assessing pragmatic comprehension competence in Chinese as a second/foreign language: From the perspective of speech acts in Chinese”です。この研究は、中国語を第二言語または外国語として学ぶ成人学習者88名を対象に、発話行為の理解能力を詳細に調べたものです。発話行為とは、謝罪や依頼、約束といった、言葉を通じて行う行為のことを指します。