研究の背景と筆者について

この研究”Enhanced efficiency in the bilingual brain through the inter-hemispheric cortico-cerebellar pathway in early second language acquisition”はカナダのMcGill大学を中心とする研究チームが、バイリンガリズムが脳の機能的組織にどのような影響を与えるのかという問いに、これまでで最も包括的な答えの一つを提示したものでした。筆頭著者のZeus Gracia-TabuencaはスペインのUniversity of Zaragozaの統計学者で、脳画像解析の専門家です。研究を主導したDenise KleinはMcGill大学の神経科学者で、長年にわたりバイリンガリズムの神経基盤を研究してきました。

この研究が行われたMontrealという都市の選択は偶然ではありません。Montrealは英語とフランス語が公用語として共存する、世界でも珍しい大都市です。街を歩けば、同じ看板に二つの言語が並び、カフェでは店員が自然に言語を切り替えながら接客します。このような環境だからこそ、生まれたときから二つの言語に囲まれて育った人、幼少期に第二言語を学んだ人、大人になってから学んだ人、そして一つの言語だけで育った人を、比較的均質な社会経済的背景のもとで比較することができるのです。