研究の出発点―感情を学びの中心に置く試み

英語の授業で手を挙げられずにいる学生を見たことはないでしょうか。文法はよく理解しているのに、なぜか発表になると固まってしまう。そんな場面は、日本でも中国でも、世界中の教室で日常的に起きています。この論文”The impact of the cognitive-emotive dialectic on L2 development of English majors in the free teacher education program in China”の著者Wei Liは、まさにそうした学習者の内面に踏み込んだ研究を行いました。

Wei Liは、中国の重慶にあるSouthwest Universityの国際教育学部に所属する研究者です。本研究では、中国の「無料教員養成プログラム」に在籍する英語専攻の大学2年生3名を対象に、彼女たちの英語学習における感情と認知の絡み合いを丁寧に追いかけています。興味深いのは、著者自身がこの3名の学生の担当教員であり、2年間にわたって週2回、1回90分の授業を行い、さらに生活指導も担当していたという点です。この密接な関係性が、学生たちの本音を引き出す土台となっています。

この「無料教員養成プログラム」とは、学生の授業料と寮費を全額免除し、さらに生活費まで支給するという手厚い制度です。その代わり、卒業後は教員として働くことが義務づけられ、1年後には大学院進学の機会も保証されます。競争の激しい中国の就職市場において、安定した職業と進学機会が約束されるこのプログラムは、多くの学生にとって魅力的な選択肢となっています。