複雑に絡み合う言語システムを追う
Romana Kopečkováによる本論文”Perception development of L2 English and L3 Polish coda obstruents by L1 German adult multilinguals”は、多言語話者が新しい言語を学ぶとき、既に習得した言語の音声知覚にどのような変化が起こるのかという問いに取り組んでいます。筆者はドイツ・ミュンスター大学英語学部の研究者で、多言語音韻習得を専門としています。本研究は、ドイツ語を母語とし英語を第二言語として学んできた成人7名が、新たにポーランド語を第三言語(L3)として学び始めてから10ヶ月間の音声知覚の変化を追跡したものです。
この研究が注目するのは、語末の閉鎖音における有声化と無声化という音韻現象です。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、実は日常的に私たちが使っている音の違いです。たとえば英語で「bad」と「bat」を区別するとき、最後の音が濁っているか濁っていないかが重要になります。ところがドイツ語やポーランド語では、語末の音は基本的に無声化する、つまり濁らないという規則があります。
