はじめに―理論と実践の橋渡しを目指して
Saudi ArabiaのMajmaah大学のJamilah Maflah Alharbiが2024年に発表したこの論文”Acquired versus learned systems in second language acquisition: A review of studies based on Krashen’s hypothesis”は、第二言語教育において長年議論されてきた重要な問いに取り組んでいます。それは「言語を教える最良の方法は何か」という、シンプルでありながら答えの難しい問題です。
筆者自身、大学で英語教育に携わる中で、学生たちが文法規則を暗記しても実際の会話ではうまく使えないという場面を数多く目にしてきました。一方で、留学経験のある学生は、必ずしも文法知識が完璧でなくても流暢にコミュニケーションを取れることがあります。この違いはどこから来るのでしょうか。
Alharbiはこの問いに、Stephen Krashenという言語学者が1982年に提唱した理論を通して答えようとしています。Krashenの理論によれば、第二言語を身につける道筋には二つあります。一つは「習得(acquisition)」と呼ばれる無意識的なプロセスで、子どもが母語を自然に身につけるのと似ています。もう一つは「学習(learning)」と呼ばれる意識的なプロセスで、教室で文法規則を学ぶような形式的な学習を指します。
