研究の背景と論文の位置づけ

2022年11月にOpenAIが公開したChatGPTは、教育の世界に大きな波紋を投じました。特に語学教育の分野では、AIとの対話によって文法を学んだり、作文にフィードバックをもらったりできるという点で、多くの教師や研究者が関心を寄せています。今回紹介するのは、トルコの大学の外国語準備課程(いわゆるプレップクラス)で実際にChatGPTを授業に組み込み、学生たちの経験と感想を丁寧に拾い上げた質的研究です。

筆頭著者のFatih Karataşはネフシェヒル・ハジュ・ベクタシュ・ヴェリ大学に所属し、外国語教育とAI活用に関心を持つ研究者です。共著者のFaramarz Yaşar Abediはアンカラ・メディポル大学の所属で、その他にカナダのコンコルディア大学のFiliz Ozek Gunyel、イノニュ大学のDerya Karadeniz、ビルケント大学のYasemin Kuzgunが加わり、多機関にまたがる研究チームが形成されています。研究が掲載されたのはEducation and Information Technologies(2024年、第29巻)で、Springer Natureから2024年3月にオープンアクセスで公開されています。

この論文が特徴的なのは、ChatGPTを教育に使った「実践記録」にとどまらず、学習者自身の声を半構造化インタビューで丁寧に収集し、テーマ分析を通じて整理した点にあります。量的研究が得意とする「平均点の向上」ではなく、「学生がどのように感じ、何に戸惑い、何に喜びを見出したか」を問うた研究です。