研究の出発点―なぜエチオピアの実践が世界に問いかけるのか

英語教育に携わる人間なら、一度は感じたことがあるはずです。「この授業、知識を詰め込むだけで終わっていないか」という焦りを。文法を教え、語彙を覚えさせ、試験に向けて問題を解かせる。それだけの繰り返しの中で、生徒たちが「考える力」を本当に育てているのかどうか、手応えがつかめないもどかしさです。今回紹介するのは、そのもどかしさに正面から向き合い、一つの実践的な答えを提示しようとした研究です。エチオピアのAsella College of Teacher Education(ACTE)に在籍するEFL(外国語としての英語)専攻の一年生を対象に、「振り返り作文(Reflective Writing、以下RW)」が批判的思考(Critical Thinking、以下CT)にどのような影響を与えるかを検証したものです。

筆者のGemechu Tola Chalaは、ハラマヤ大学の社会科学・人文学部に所属する研究者であり、共著者のAdinew Tadesse Degago、Abera Admassu Endashaw、Alemayehu Getachew Tsegayeとともに、エチオピアの英語教育が直面している課題に長年向き合ってきた実践者たちです。エチオピアでは、従来の教育が暗記と知識の反復に偏りがちで、批判的に考えたり、自分の言葉で論理を展開したりする力が育ちにくいという問題が指摘されていました。そこに2023年の新カリキュラム改革が重なり、「コンピテンシー・ベース」の教育への移行が求められる中で、この研究は行われました。