研究の背景と著者紹介

教育の現場にAIが入り込んでくる速度は、ここ数年で驚くほど加速しています。大学の授業でChatGPTを使う学生が増え、日本でも「AIに頼りすぎではないか」「それでも本当に考える力がつくのか」という議論が絶えません。そんな問いに正面から向き合った研究が、2025年1月に学術誌 Frontiers in Education に掲載されました。台湾国立師範大学のHoda Fakourと台湾国立大学のMoslem Imaniによる論文 “Socratic Wisdom in the Age of AI: A Comparative Study of ChatGPT and Human Tutors in Enhancing Critical Thinking Skills” です。

Fakourは持続可能性マネジメントと環境教育を専門とし、Imaniは環境工学を専攻しています。一見すると教育学とは少し距離のある専門背景に思えますが、実際には環境教育や理工系教育においても批判的思考の育成は中核的な課題であり、そのレンズを通してAIと人間の指導者の比較に取り組んだという点で、ある種の新鮮さがあります。この研究は台湾国家科学技術委員会(NSTC)の助成を受けており、制度的な裏付けも確かです。