論文が問いかけること

英語を外国語として学ぶ環境、いわゆるEFL(English as a Foreign Language)の教室で、情報通信技術(ICT)を使えば学習者の批判的思考力が伸びる―そう聞いて、すぐに「そうだろうな」と納得できる人もいれば、「本当に?」と首をかしげる人もいるでしょう。この問いに正面から向き合った論文が、貴州師範大学外国語学院のJie WeiとHe Liによる “A Systematic Review of Critical Thinking Development in Information and Communication Technology-Supported English as a Foreign Language Teaching from 2015 to 2024” です。2024年12月に Forum for Linguistic Studies 誌に掲載されたこの論文は、2015年から2024年にかけての10年間に発表された実証研究を体系的にまとめ、EFL教育においてICTが批判的思考力の発達にどのような役割を果たしてきたかを分析したものです。

著者のJie Weiは本論文の主担当として、構想から分析・執筆まで全工程を担い、He Liが監修という形で研究を支えています。貴州師範大学は中国内陸部に位置する地方国立大学であり、そこから発信されたこの研究は、中国のEFL教育研究の裾野の広がりをよく示しています。研究の背景には、ICTを活用した言語教育の急速な進展がありますが、それ以上に重要なのは、「批判的思考力の育成」という教育目標そのものへの問い直しです。