生成AIと高次思考力という問いの立て方

2022年11月にChatGPTが公開されて以来、教育現場では生成AI(Generative Artificial Intelligence、以下Gen-AI)の活用をめぐる議論が急速に高まりました。日本の英語教育の世界でも、「AIに作文を書かせるのではないか」「語彙や文法の練習が形骸化するのではないか」という懸念と、「個別フィードバックが瞬時に得られる」「多様な題材を生成できる」という期待が入り交じるようになっています。そうした状況のなかで、Zhao, Yan、Yuhe Yue、Zhonghua Sun、Qiang Jiang、Gangsheng Liの5名による論文 “Does Generative Artificial Intelligence Improve Students’ Higher-Order Thinking? A Meta-Analysis Based on 29 Experiments and Quasi-Experiments”(2025年、Journal of Intelligence)は、29本の実験・準実験研究を統合し、Gen-AIが学習者の「高次思考力(Higher-Order Thinking、以下HOT)」に与える影響を定量的に明らかにしようとした意欲的な試みです。

著者陣は、中国の長春師範大学教育学部、東北師範大学情報科学技術学部、中国海洋大学教育学部に所属する研究者たちで構成されており、教育工学、情報技術教育、教育心理学にまたがる学際的なチームです。研究の中心にあるのは「Gen-AIを授業に取り入れることで、学習者の批判的思考・創造的思考・問題解決能力という三つの高次認知能力が向上するのか」という、教育実践者なら誰もが気になる問いです。